ヒマラヤ仮面と田上一彦
(雑誌「BRUTUS」1995年8月号掲載/写真 三上賢治)
崑崙舍 初代舎主
Kazuhiko Tagami
Researcher, Scholar, Ethno-Religious Art Collector,
and Museum Supplier
1952年 大阪生まれ。75年音楽修行を目的にアジア経由でドイツを目指すが、インドのカルカッタの現実に衝撃を受けインドに滞在。生きた宗教ヒンズー教に触れる。
以来、民族資料収集と調査研究を生業とし、収集品を国立民俗学博物館や天理参考館をはじめとする国内の博物館や美術館へ多数のコレクションを納品。聖地の巡礼者として各国の辺境を訪れながら資料の収集と研究を続けていた。(1952 - 2022年)
1996年出版 田上一彦 自伝「内なる崑崙を訪ねて」 note にて公開中
76~78年 ネパール山中および、北インド、ラダック地方に長期滞在しチベット文化に触れる。ラマ教関係の資料、仮面収集。パキスタン北部、アフガニスタンの遺跡や聖地を訪れる。
78年 北米、中南米に滞在。プレインカの土器、染織品収集。
79~80年 インド、ネパール滞在。
81年 中南米滞在。南極半島へ渡航。北極圏、スカンジナビア半島滞在。
82年 インド、ネパール、スリランカ滞在。
84年 中国南部、東北満州、カシュガル地方滞在。ネパール滞在。
85年 パキスタン南部砂漠、インド、ネパール滞在。チベット高原カイラス山へ巡礼。
87年 北アフリカ、シナイ半島、中近東滞在。戦中のイランにて美術品収集。
88年 中南米滞在。メキシコ呪術師調査。隕石収集に没頭し、隕石で装身具制作。大阪の刀匠と共同で隕石を用いた日本刀を制作。NHK、テレビ大阪放映。雑誌『サライ』の取材記事など評判を呼ぶ。
89年 インド南部にて神殿を収集。
90年、91年 インド滞在。
92年 三重県松阪市の山中に転居。以後、古民家を展示スペース ”山奥の超空間”崑崙舍」としてコレクションの一部を一般に公開。(現在は休館)
舍主の収集したと自然とが一体となった不思議な空間「崑崙舍」は大勢のアーティストたちが訪れる場所となり、数年に渡り、自然の中で田植えとコンサートを合体した祭りを催すなど、コレクションと音楽やアートを一体にしたイベントを多数開催。(「始源の時」、「印度祭」、「風のまつり」、「崑崙祭・こめまつり」、「サンギート・メーラ、インド古典音楽の一夜」、「神話祭」等)
95年より、中京女子大学人文学部 アジア研究所研究員として活動。
晩年には念願であったカイラス山への二度目の巡礼を果たした。